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公開シンポジウムの概要

 

12月14日に行なわれた公開シンポジウムは、大河原良雄 当研究所理事長の司会進行により、米国から、ピーター・ガイスナー ハーバード大学アジアセンター・シニアアドバイザー、ヴァージニア・ホジキンソン ジョージタウン大学ヴォランタリー組織研究センター教授、豪州から、エリザベス・チャム フィランソロピー・オーストラリア理事長、日本から、山岡義典 特定非営利活動法人日本NPOセンター常務理事・事務局長の4名の招聘研究者と当研究所の小堀深三 首席研究員の合計5名が参加して行なわれた。

シンポジウムでは、最初にガイスナー氏による基調講演が行われた。ガイスナー氏は、特にアジア地域に注目して、21世紀におけるNPOの役割についてプレゼンテーションを行った。アジア地域は、21世紀に入ると経済・政治・社会における何よりも重要な4つの課題に直面する。第一は、人、資源及び環境の間に持続可能なバランスを見出すこと、第二は、公の意志決定への幅広い参加と効果的な統治との間に持続可能なバランスを確保すること、第三は、農村社会における最低生活水準と都市化された人々との調和、第四は、グローバリゼーションが進み、相互連結と相互依存が高まる世界において必要な制度仕組みをいかにして構築するか、である。経済・政治・社会的課題に対応するうえで、政府・企業に加えて、NPOが重要な役割を果たすであろう。NPOが新しい役割を果たすためには基本的な変革が必要である。第一に、NPOは組織及び人材の面でよりプロフェッショナルになる必要がある。第二に、NPOは、透明性を高め説明責任を強化する必要がある。第三に、NPOは、相互に協力して必要なインフラを強化していく必要がある。第四に、NPOは、財政基盤を強化していく必要がある。

次いで、ホジキンソン氏より、以下の点が指摘された。活発なシビル・ソサイエティーを作っていくためには、教育の役割が必要である。自分達の奉仕活動が地域社会全体の健全性にどのような形で貢献できるかということを教えていく必要がある。かって、アメリカにおいて、ボランティア精神が減衰していったが、高等教育におけるボランティア活動の講座、学校教育における支援プログラム、ボランティア活動参加のための団体など様々な活動が活発化した結果、約20年ぶりにボランティア活動は非常に活発になっている。

次いで、チャム氏より、以下の点が指摘された。オーストラリアにおいては、1999年11月に、首相を座長とし、コミュニティ(NPO)と産業界が半数ずつ参加するラウンドテーブルが開催されている(年3回)。これまでのラウンドテーブルの議論の中で、研究調査の重要性、寄付を促進するための税制の必要性、啓発活動の重要性が指摘されている。特に、三番目の啓発活動に関しては、NPOとのパートナーシップを構築した企業に対して、首相が賞を出すことになった。

 

 

 

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