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次いで、山岡氏より、日本において、連立与党でNPOを支援するための寄付金に対する優遇税制の導入が合意されたこと、教育において奉仕活動の義務化の是非が議論されていることが紹介された。奉仕活動については、義務化では義務が終了すればやらなくなるが奨励ならば終わっても継続するというホジキンソン氏の国際会議での発言を紹介しつつ、本当の意味でのボランティア精神をいかに養っていくかが重要である。また、税制優遇措置については、制度は作ったが足腰の強いNPOが育たなかったということがないようにしっかりやっていかなければいけない。

最後に、小堀氏より、アメリカにおける共同体における横のつながりの重要性、参加型の民主主義としてのNPOをどう考えていくべきか、インターネット時代の新しい寄付文化について、指摘があった。

次いで、質疑・討論が行なわれた。

最初に、90年代の10年間、なぜ、ボランティア活動、NPOが活発化してきたかについては、ホジキンソン氏から、多くの人がボランティア精神が失われることを恐れたこと、歴代の大統領が重要視してきたことが指摘された。

シアトルにおけるNGOのデモ行為をどう考えたらいいかについては、ホジキンソン氏から、市民が、政府や国際機関が自分達の意見を聞いてくれるなかで、国際的に国境を超えて声なきグループが声をあげていったと考えられること、チャム氏から、同じようなメルボルンでの世界経済フォーラムにおいては、外での抗議行動の結果、最後に産業界がNPOを中に招きいれたこと、が指摘された。

NPOとNGOという言葉・概念の違いについては、ガイスナー氏より、ボランタリー組織、NGO、NPO、CSO(Civil Society Organization)など様々な用語があるが、どういう組織を中心に考えているかを明らかにしながら使いやすい用語を使うべきこと、ホジキンソン氏とチャム氏より、概念・範囲についてアドボカシーを行う団体の扱いの特に税制における問題点、山岡氏より、日本では国際的に活動を行うのがNPO、国内がNGOと呼ばれることが多いが本来一緒と考えている、ことが指摘された。

NPOの独立性・自立性の問題については、ガイスナー氏より、政府・企業・NPOが相互に補完して補っていくことが望ましいこと、ホジキンソン氏より、NPOが政府・企業から支援を受けることは問題ないがどのような形で参加しプログラムを作るかが重要であること、チャム氏より、NPOと企業の相互理解・信頼関係が重要であること、山岡氏より、特定の財源に偏ることなく、自主事業による収入、企業・政府からの支援、会費による安定財源のバランスをとりつつ多様性の中で対等なパートナーシップを築くことが重要であること、が指摘された。

教育における奉仕活動義務化の是非については、ホジキンソン氏より、アメリカではメリーランド州のみが義務になっていること、ただ義務となっているだけでは義務期間が終わったらやらなくてよいという考えになるが、ボランティア活動を何かを学ぶ過程に組み込んで、奨励していくようになっていれば、継続して行う習慣がつくこと、が指摘された。

 

 

 

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