しかし、消防や医療など、直接被災者に関わる専門職が対象で、ボランティアは後まわしになります。私たちボランティアも遠慮をしていたと思います。ボランティアは活動している間は大事にされますが、擦り切れたら使い捨てになるような気がするときもあります。そんな状況を見ると、「ボランティアって手段なの?」と考えます。
燃え尽きた人は「やらなければよかった」という気もちでいっぱいなのではないでしょうか。挫折感や無力感、途中でやめてしまった自責の念、ボランティア活動への嫌悪感などを感じていると思います。
そんなボランティアにとって、どのようなケアがあれば「あの経験はよかった」といえる状況になるのかは難しい問題です。もしかしたらそれは、他人がやるべきことではないのかもしれないと、私は考えています。
II. 1年かけて自分を好きになる
「1年間ボランティア」に参加した女性
弱いあなたも「あなた」だ
看護学校卒業後、6年間、病院で看護婦として働いたのち、「1年間ボランティア」1)に参加しました。
看護婦として働いていたのは、重い障害のある子どもたちが入院している病棟でした。訓練をして回復するということより、生きているなかでその子がどれだけ輝けるかということを考えて、仕事をしていました。
6年間看護婦をしていると、責任も重くなり、そのプレッシャーに耐えられなくなって、バーンアウトの状態になりました。お酒を飲まないと仕事に行けなくなっていましたが、自分ではなかなか気づくことができず、同僚に言われてはじめて、仕事をやめようと思いました。
仕事をやめてすぐに「1年間ボランティア」に参加しました。「1年間ボランティア」の仲間や、JYVA2)の人、活動先の人には、自分を認めてもらえたという実感がありました。とくに活動先の人たちにはとても迷惑をかけましたが、そのなかで「弱いあなたもあなただ」と認めてもらえたことで、自分でもそれを認めていけるようになっていきました。