ボランティア組織として事業を拡げ、たくさんのお年寄りやその家族と出会うなかで「介護者のための直接のケアが必要だ」と強く感じたと言う。
1999年に「介護者講座」を開き受講者を募ったところが、直接介護にあたっている人は受講者のなかでもごくわずかだった。本当にリフレッシュや助けが必要な人は、介護現場から離れることができない状況にあることがわかったのだ。また、介護を担っている人に、いきなり「ご主人や親を誰かに預けて外に出ましょう」と言っても、不安が大きいということもわかってきた。
そこで、2000年4月からミニデイサービスと介護講座を並行して行うかたちを、本格的にスタートさせた。
プログラムの内容は、気功やカラーコーディネイト講座など直接リフレッシュにつながるものから、陶芸教室やパソコン教室など、その内容はバラエティに富んでいる。
この講座のほかにも、家族で一緒に参加できる日帰りツアーや温泉旅行など、季節ごとのイベントもたくさん企画してきた。
3 参加者ではなく、主体として
「かものはし」の理念は、主役はあくまでも利用者であるということだ。主催する側は利用者の自立支援をサポートすることに重きをおき、スタッフは黒子に徹する。
介護者講座についても、企画に参加する介護者が「お客さん」で終わらないように「次はあなたたちが担う番だ」と言いながら、活動の主体者として運営に参加できる道すじを開いてきた。
現在、2000年度の「オーロラ・プロジェクト」の修了生が中心となって「オーロラの会」という介護者の会を組織し、活動を始めつつある。
「かものはし」の活動は、仮設住宅に笑顔と励ましを届けるつもりで始まったものだが、同時に住民の方たちに活動をはぐくんでもらっていると言う。