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最初の渦励振解析では海流だけが渦励振の原因として考慮されている。これに基づいて疲労の評価が行なわれ、疲労が大きいと思われる場合に、無視できるレベルまで疲労を低減させる対策が取られる。この後、1次と2次の強制運動と波の直接の影響を考慮した通常の疲労解析が行なわれる。こうした手順では、設計者は渦励振による疲労破壊とその他の負荷による疲労破壊の組合せを行なわず、また、上記(i)および(ii)の設計手法も使わないことになる。ただし実際には、こうした簡易設計手法を使って渦励振対策が必要とされるケースでも、より高精度の設計手法を使うとその必要がないことが確認できる場合がある。

本稿では、これらの問題点を克服する新しい設計手法を提案する。以下では、この方法、すなわち、いわゆるFerrari & Bearmanモデル(Sertã 99)に基づいて、流れ方向と横方向の流体力を同時に考慮する方法について述べる。

 

新手法の提案

提案する疲労設計の新手法について、その特長を以下に紹介する。

流体力モデル:

ライザー断面に作用する流体力は、Ferrari & Bearmanモデルに基づいている。このモデルは(Ferrari 98)により、Bearmanら[6]の準定常モデルを拡張したものとして提案され、以下に示す2つの方程式に要約することができる。

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ここで、式(1)はMorison方程式を修正(一般化)したもので、式(2)は揚力の成分と流体の反作用の合計として与えられる横方向(y方向)の力に相当する。揚力は、ライザー断面の流れ方向(x方向)の移動速度に対する流れのローカル速度(波と海流から得られる)の2乗に比例する。渦のはく離の平均周波数は、次式で定義され、揚力の調和係数の式で使われる。

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流体の反作用は、横方向(y方向)の慣性成分1つと抗力成分1つを含み、ライザー断面の横方向移動速度と、以下の式で表されるライザー断面の相対速度係数の積に比例する。

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