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本プロジェクトにおいて、幾度も、スコットランドの建造ヤードであるB&R's Barmacに行き、検討した。特に構造上、鉄のグレードと設計上局所的に利用可能な区画について、設計者は考慮する必要がある。

 

労働者

厳しい環境下で稼働するFPSOは、高水準の自動化と管理を駆使しても、一般的な貨物船より完成するまでにより多くの人手が必要である。一般的なFPSOの建造は、VLCCの建造に比べて2〜2.5倍の人手が必要とされる。穏やかな海域で操業するFPSOは、VLCCの建造に必要な人手と大差ない人手ですむであろう。特に電装及び制御関連機器の設置には極端な人手が必要である。設備に関して、強度及び耐疲労性について高い要求をしているため、及び、高品質の材料を用いることにより約75%余計に必要となる配管のため、構造上の作業は約30%余計に必要となる。

 

顧客の支援

設計上の独特な特徴に関する経験不足により、かなりの支援が必要である。このことは、専門的な意見の取り入れを嫌い、自分たちで何とかやっていこうとするアジアの造船所においては真実である。ヨーロッパの造船所では、自分たち内部の技能を補うことや、より多くの標準でない設計も行っている。造船所の弱い分野又は引渡後に高度な調整が必要な点について、顧客は支援する計画を立てる必要がある。そうすることにより、基本設計の完成度をより高め、仕様をより詳細に記述することが容易にできるのである。

 

文化的な相違

アジアにおいて「face saving(メンツを保つこと)」についてもう少し述べる。間違いの指摘が嫌われているということは、まさに事実である。しかしながら、根拠を示せば、間違いは修正される。彼らはいつも、建造状況について顧客の承認を得ることを試みており、プロジェクトの詳細に関する摩擦が生じて遅延することを避けるために、アジアでは厳格なラインが構成されている。これは、顧客チームが埋めなければならないギャップである。一例として、我々顧客は、間違いを探すことをしばしば避難されるという実例がある。「お宅の検査員は非常に細かいところをチェックする」とか、「この間違いを、何で先月見つけなかったのか」とか。

年下の職員は、いつも年上の職員の言うことを聞く。このことは、しばしば、外部の者がそうするように指導しなければ、最も年上の職員のみが発言するということを意味する。

 

 

 

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