日本財団 図書館


【結果および考察】

1. 試験海水・濃縮画分の培養細胞に対する障害性―1(LDH試験)

石巻工業港からの採水は、2000年8月から2001年1月まで、月1回、合計6回行った。舞根研究センター前からの採水は、2000年7月、10月、12月の、合計3回行った。各々の結果をグラフに示す(石巻の結果、図10〜15;舞根の結果、図16〜18)。

その結果、本研究で確立した方法は、実際の現場の海水試料にも適用できることが明らかとなった。しかし、全体としてみると、検出はされるが、非常に低い値を示す試料が多く、場所や時期の違いは明確ではなかった。最初に、各々の場所で採水月ごとと溶出溶媒ごとに評価してみると、石巻では、11月の試料の障害性が最も高く、エタノール/エーテルの混液では50%を越えていた。しかし、濃縮倍率5.5倍添加区という希釈度の高い区が最も強い毒性を示しており、この理由は明らかではない。その他の月でもばらつきが大きく、はっきりとした傾向はみられなかった。溶出溶媒の違いによる細胞毒性・障害性は、エタノール/エーテルの混液・溶出画分の細胞障害率が最も高いという基本的な傾向は多くの試料で認められた。その他の本年度の特徴として、平成11年度の化学標品を用いた試験ではほとんど毒性のみられなかった蒸留水溶出画分を添加した区が、比較的高い細胞障害率を示した。様々な成分を含むと考えられる現場の海水では、必ずしもC18カラムに強く吸着する物質だけが毒性成分ではないのかも知れない。舞根の試料においても、傾向は同様であった。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION