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細胞の培養にあたって注意したことは、なるべく同じ継代数の細胞を毒性試験に供することができるようにすることである。まず最初に大量培養を行って増やした細胞を小分けにして-80℃で凍結保存した。そして、毒性試験に供する時は凍結してある細胞を溶解して再培養をしたものを用いた。凍結から溶解した最初の細胞は凍結障害を受けている可能性があるので、これらを直接試験には用いずに、必ず一度継代を行って良好な状態になった細胞を試験に供した。

 

次に、本補助事業で購入した備品について、その用途を簡単に述べる。

1. 海水試料濃縮システム

これは遠心式濃縮機(タイテック社・VC-96N)を中心とした試料を濃縮するためのシステムで、カラムから溶媒によって溶出された化学物質をなるべく変性させずに溶媒のみを除去することで化学物質の濃縮度を高めることを目的としている。有機溶媒によく解ける脂溶性物質でそれ自身は蒸発しないような物質、例えば微量金属の誘導体などの濃縮に最も適している。しかし、海水に混合・懸濁している物質の中には、それ自身も溶媒とともに蒸発してしまう物質の存在も考えられたので、水層を作るなど少し工夫した。

2. クリーンベンチ(日本医化器械・VSF-1300A)

これは細胞を無菌的に取り扱うために購入した。

3. 細胞培養用炭酸ガス培養器(ヤマト科学・IT63)

これは前述の通り、37℃に設定して細胞を培養するために用いた。

4. 純水/超純水製造システム

これは純水製造装置(日本ミリポア社・Elix 5)と超純水製造装置(日本ミリポア社・Milli Q plus)を組み合わせたもので、細胞培養の培養液に用いる質の高い超純水を得ることが主な目的である。さらに今回の研究では標品の化学物質を添加する人工海水(マリンアート・バリアリーフ、千寿製薬、これを規定濃度に溶解したもの)の作製にあたって他の毒性成分が混入しないように、超純水を用いた。これを活性炭で濾過した後、0.2μmのフィルターでもう一度濾過したものを使用した。

 

 

 

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