2. 事業の遂行に関する内容
(1) 事業計画の概要
環境中に放出され沿岸海水に混合あるいは懸濁していると考えられ、1つ1つは微量であるが、生物に対して毒性・障害性を示す化学物質の多くを効率良く捉え、生物検定試験に用いられる量に濃縮するための方法としてカラムクロマトグラフィーを用いる。この目的に合致したカラムの選択と一度捉えた後に選択的に溶出した毒性物質の濃縮方法の確立する。
次に、得られた濃縮化学物質の生物に対する毒性・障害性を判定、評価するために培養細胞を実験動物の代替試料とした生物検定法を行う。検定の方法として培養細胞に適した方法の検索、毒性物質に対してより鋭敏で再現性のある反応を示す培養細胞株を選択するための感受性試験を行って、これらを統合した濃縮毒性試験法を確立する。
平成12年度の研究では、確立した濃縮毒性試験法を用いて、現場の海水に混合あるいは懸濁する化学物質の毒性を実際に評価した。2カ所の現場海域、舞根湾と石巻湾を調査対象に定めて、そこから定期的に採水した。具体的には2つの試験を実施した。
1つは、2000年7月から2001年1月まで毎月1回の定期採水を行って、試験海水に含まれる化学物質の時期による変動を検討した。
もう1つは、潮汐の関係や天候によって1日のうちでも大きく変化することが予想される、試験海水に含まれる毒性物質の変動を知るため、舞根湾において6時間ごとに採水して、24時間での変動を調べた。この試験は、2000年8月24日から25日にかけて実施した。