以上のことから、本研究事業で検討した方法は、「海水に混合あるいは懸濁する物質を総合的に捉えること、そしてどの化学物質が影響するのか特定をすることは目的とせず、あくまでも海水試料の中に生物に対する影響物質が含まれているかどうかを明らかにできる評価法、できれば簡便で、かつ高感度に定量的な判定・評価を行うことができる方法の確立」という目標に概ね沿うものであると考えられた。
平成12年度の研究では、2カ所の現場海域を調査対象に定めて、そこから定期的に採水し、平成11年度に確立した方法を適用して「現場の海水に混合あるいは懸濁する化学物質の毒性を評価する」ことを試みた。具体的には、2000年7月から2001年1月まで毎月1回の定期採水を行って、試験海水に含まれる化学物質の時期による変動を検討した。また、潮汐の関係や天候によって、1日のうちでも試験海水に含まれる化学物質は質、量ともに大きく変化することが予想された。そのことは、細胞に対する毒性の強さや質的な違い、例えば違う時間に採取された試料によって毒性を示す溶出画分(溶媒)が異なるなどの結果で明らかになるはずである。そこで、同じ場所から6時間ごとに採水して、24時間での変動を調べた。