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図5 三陸沿岸域200m層であることを除くと、図4と同じ。

 

KR3の3月における50m層の値を除くと、両測点の全ての層で水型の季節変化はTの領域で起こっている。したがって、平均水型から見る限り沿岸よりの観測点は四季を通して津軽暖流系の水が存在することになる。面白いのは、南側のTS3での季節変化の振幅が水温塩分ともに、北側のKR3よりも一般に大きいことで、流下方向へのこのような変化は、海面からの加熱あるいは黒潮系水の影響を考えなければならない。この海域内部でも顕著な水塊変質が起こっていることを示すのであろう。TS3の100m層で9月の平均水型がTとKの境目近くに位置しているが、月平均値でこのような高塩分値を示すのであるから、個々の観測値では明確な黒潮系水がしばしば観測されていると考えられる。

比較のため、この両ラインの沖側の点KR6(40°00'N, 142°50'E)およびTS8(38°56'N, 143°14'E)での水型の季節変化を示したものが図7である。KR6において、2月〜6月の水型はOの領域にあり、親潮水の性質を持っていることが分かる。これは2月に起こる津軽暖流水から親潮水への交代、5〜6月に起こる津軽暖流の復活に対応するものであろう。TS8では冬季(12月〜3月)の観測は行われていないが、4〜5月の水型がO領域ではなくTの領域に見られる。この南側の測点で、北側の測点より早く津軽暖流水が現れることは考え難く、何らかの形で黒潮系水の影響を受けていると考えるべきであろう。

 

 

 

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