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これらの結果は、2001年度に予定している日本近海の海流アトラスの作成に結び付けていく。この際、水温・塩分等のアトラス作成に用いた沿岸水位による海流のパターン分けの手法も応用する予定である。現在の外洋域での漂流予測においての最大のネックは、海流場の知識の不足であるから、ここでの成果は、学術研究上でも水路業務を初めとする実用上でも非常に大きな貢献を与え得るものと確信している。

 

II. 国際関連事業

 

MIRCの活動の指針を得るための情報収集や意見交換のために、先進的なデータセンターである米国NODC・NGDC、ハワイ大学にあるWOCE/ADCPのデータセンター、カナダ、オーストラリア、フランス、あるいはPICESデータ交換技術委員会(TCODE)等と密接な連絡を取ってきている。

また、少なくとも海洋データ管理の面では開発途上国である中国、ロシア(ウラジオストック)、ベトナム、フイリッピンのNODCあるいは関係機関を訪問してデータ管理についての啓蒙的講演を行うと共に、MIRCの開発した品質管理ソフトウェアの提供と使用法の解説を行ってきており、それぞれ非常に高く評価されたと自負している。

また、国際協力活動の一環として、1999年にマレーシアのランカウイで開かれたIODE-WESTPACの海洋データシンポジウムや、2000年函館で開かれたPICES総会、PICESが共催しつくばで開かれたCO2に関するシンポジウム等に研究者の招聘を含めた貢献を果たしてきた(普及啓蒙活動の一環)。また、これらの会合を初めとする国際学会・国際集会において、MIRCの成果の発表を行ってきた。

このような活動を通して、MIRCの名前は国際的にも知られてきたと自負している。特に、11月にリスボンで開かれたIODEの総会においてIODEの議長であるオーストラリアのBen Searle氏に会った際、MIRCの活動について高く評価すると共に、感謝もしていると言われた。「それなら、そのことを書いて、MIRCのニュースレターに投稿してくれないか?」と依頼したら、「喜んで書く」という返答を得、2001年1〜2月発行予定のニュースレター8号に寄稿してもらえることになった。その原稿「MIRCの活動について―IODE議長の立場から―」を受領したので「別添」として提出する。また、MIRCの研究成果について高く評価してくれている米国NODCのSydney Levitus博士は、その次の9号には私が投稿しようと約束をしてくれた。どのような原稿が得られるか、期待すると共に非常に誇らしいことと考えている。

 

III. 一般啓蒙活動

 

 

 

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