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4. 海流データ

 

ADCPデータの補正係数を求めるソフトウェア

日本近海における海流の計測データは、音波流速計(ADCP)の普及により膨大な数に上っている。しかし、品質管理上の問題点等のために、そのデータベース化は非常に遅れている。JODCにも、海上保安庁所属の巡視船が計測したデータが蓄積されており、ファイル数で約6200(航海数で約3500)のデータが96隻の巡視船から集められている。ただし、フォーマットが数種類あり、重複データ・一部重複データがあり、整理し直す必要があった。JODCあるいは水路部の海洋調査課との打ち合わせの中で、測器の選定への設置角度の誤差から来る測定誤差の管理が十分でないことが分かり、MIRCとしては先ず静水域での往復観測を前提として、その補正係数を計算し、それによる測定値の補正をおこなうソフトウェアを作成した。このソフトウェアは各管区海上保安本部に送付済みであり、1年に1回、できればドックでの整備作業終了直後に補正係数を求める往復観測を実施するよう要請していると聞いている。実際上の実施には、業務との関係で種々問題があるようであるが、このソフトウェアの作成は、JODCに流れ込んでくるデータの質の向上を目指す、MIRCの方針に従うものである。

 

ADCPデータの品質管理ソフトウェアの開発

ADCPの測流データは、通常5分おきに得られるから、1つの航海で平均して千個を超える膨大なデータが得られる。そのため、品質管理作業は計算機を用いて、いわば機械的に行う必要がある。ソフトウェアでは、先ずフォーマット上の不備、測器の故障、受信シグナルの異常、船速異常、海陸チェックの結果等からの基本的な誤記録を除いた後(別ファイルに保存)、測定値の品質チェックには、船の進路あるいは船速の急変部を除去すると共に、異常な測定値(5ノット以上の測流値)、相次ぐ測定値が急変するものなどに異常フラグを付加し、その後の解析からは省くことができるように工夫されている。また、より精密なチェックのため一連の測定値を図化する機能も備えている。

 

巡視船等のADCPデータの品質処理と他測流値を合わせたデータセットの作成

巡視船データは伝送方法や、測器の種類によって種々のファイル形式があるが、比較的統一された方式で得られ、また質もある程度そろっている。しかし、非整合的なファイルや、重複ファイルの数も決して少なくなく、また船名を確定することが不能な場合もあった。これらをできる限り修復したが、最終的には疑わしいファイルを分離し、データベースの作成に取り掛かっているところである。また、これとは別個に、JODCに保管されている海上保安庁以外の船舶のADCPデータ、ドリフターによる測流値、GEKによる測流値等も一定の品質チェックを施して、データセット化している。

 

 

 

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