断層の位置を少し西に移動させて津波の計算を行ってみた(図14)。意外なことに海岸線に現れた津波浸水高さのピークの位置は全く変化がない。ただ第1のピーク(西側)がより大きくなり第2ピークが少し小さくなるだけである。すなわち、「かいれい」の測量で得られた詳細海底地形図によって、この2点が津波特異点であることが数値的に解明され、それが現実の津波浸水高さの分布図とよく対応していることが判明したのである。
このような津波浸水高さ分布の上のピーク(特異点)の出現は、海底地形図の上の何に対応しているのであろうか?図13、14に示された海底地形図をよく見ると、Sissano潟湖の沖合で、陸棚斜面が外に向かって緩やかにはらみだしているところがある。また、Malol潟湖の前面にも西方から突き出てきた浅い地形が舌状に広がっている。このような地形が凸レンズの効果を発揮して、海岸線上に2個のピークとして焦点を結んだものと理解することができる。