スタートは綱きり方式で行われる。2隻が上手く並ばないと綱は切られない。スタートが近づくと岸壁で竹竿が打ち鳴らされ、歓声が上がる。しかし、いつも1回でスタートが切られることはない。2回もない。常に奇数回できられる。綱の張り具合が勝敗を決するためタイミングのとり方が難しい。その昔、スタートをめぐって喧嘩がたえず、明治の中頃には仲裁をめぐって平戸の裁判所まででかけたという。
競技中の掛け声は「ヨイサ、ヨイサ」である。飛び手は両方にもった身竿を天に掲げ仁王立ちになったり、櫓拍子を取るために舟べりを竹で叩いたりした。岸壁があるためにゴールは海中にはられたロープで勝敗が決まる。大観衆の見守るなか勝負はあっという間に決まってしまう。岸壁がない頃は飛び手は浜に乗り上げるやいなや飛びおりて、御仮殿の神輿の前に立つ神宮に向かって全力疾走した。それは神官のもつ御幣を奪うことによって勝負が決した。つまり、海と陸の2つのレースがおこなわれた。また、神輿にタッチをして勝負を決する時もあったようだ。
競漕が終了すると、直ちに選手は神輿をかつぎ旧道をとおって本殿に向かう。
現在も14日は沖止めになるが、かつてはこの祭のためにはどこに居ようとも帰って来なければならなかった。
勝本も漁業の衰退、青年数の減少から長く続いてきた地区対抗といった形式はなくなってしまった。先に述べるように、保存会によって何とか継承されているが、それも風前のともしびである。
55] 勝本ペーロン大会
・長崎県壱岐郡勝本町勝本港
・8月16日
・校友会
・プラスチック船2隻のペーロン舟による競漕 小櫂12丁 大櫂 拍子とり
★大正4年の夏から始まった。