4) 暴風雨時には追尾率が悪いとの報告が以前からある。例えば降雨によるレーダー電波の減衰などで船舶エコーが入力されなくなって、追尾率は風雨と負の相関が有るかも知れない。しかし、追尾率と風雨との相関があっても風雨は除去できないから、実際には、如何に追尾処理及び追尾パラメータを変更して追尾率の向上を図っても、追尾率は風雨の状況と船舶分布の変化によって変動することは避けられない。これらの関係を短期間で定量的に把握するのは困難であると言うしかない。
例えば、図4.6.1で風雨の影響によって追尾率が84.134%に低下した理由は、船体長が小さい船舶からのエコー入力が、15.866%までの(船体長が小さい)小型の船舶のエコーが入力されないで追尾されなかったということになる。
5) 今後、追尾率と気象(風雨)の状況との関係を調べる場合には、追尾率(とロスト率又は乗り移り率を含む)と、風雨の状況として、風速(及び風向)と降雨強度などとし、それらの相関関係を調べる必要がある。
追尾率は気象(風雨)の状況と船舶分布の変化により変動する。もし、風雨と船舶の分布との影響を調査するとすれば、以上述べたことを考えておくべきであろう。