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4.4.4 今後の残された問題

前項の実態調査の結果、新方式レーダーの導入により解決される問題と今後に残される問題があることが判った。今後これらの問題についての対策(図4.3参照)を検討するべきであると考えられる。

 

今後の課題として、例えば本牧レーダーの追尾での主な問題点であったいわゆる追尾でロスト又は乗り移りとなる問題の対策についても検討する必要がある。例えば、レーダー電波の陰領域における予測追尾の継続とレーダー電波の多重反射偽像の除去による対策である。

追尾ゲート幅に関しては、ロストと乗り移りは背反関係となり、追尾可能な船舶の最高速力が規定される。新方式レーダーでは追尾可能な船舶の最高速力は70ノットまでとなるが、「追尾ゲート幅の初期値設定は、船舶の最高速力を50ノットにとどめる」、「乗り移りさせるよりロストさせることを優先する」などの方針を持って、監視性及び操作性を実運用により評価しながら、追尾パラメータの設定変更を継続していく必要がある。

以下に、今後のそれらの課題と対策について述べる。

 

4.5 今後の課題と対策

1) レーダー電波の陰領域を航行する船舶の追尾でロストとなる問題の対策この陰領域では基本的には予測追尾を継続してロストを防止できる。

この状況を図4.5.1に示す。図は本牧レーダーと中ノ瀬航路出口付近との中間の距離Rの地点に例えば船体長が約144mの船舶が存在すると、その船舶によりレーダー電波の陰となる領域の長さは中ノ瀬航路出口付近では約259mとなり、追尾でロストとなることを示し、同様に中ノ瀬航路入口付近では船体長が約101mの船舶が中間点に存在すれば陰となる領域の長さは約182mとなることを示している。

また、基本的にこの陰領域で予測追尾を継続すればロストを防止できることを示している。

 

 

 

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