4.4.3 実態調査より得られたもの
今年度最新型のシステムに換装された東京湾海上交通センターで実施した実態調査では、長年にわたる運用の実績と経験を持つ実際にこの業務を担当されている方々からの生の意見をいただくことができ、新方式レーダーの船舶通航業務システムヘの採用についての検討に役立った。
今回の調査研究の結果から今後の課題とその対策をまとめると次のとおりである。
1) ロストと乗り移りとなる原因を次のとおり考えて対策を検討する。
1] 船舶エコーが複数に割れる
2] 船舶の陰によるロスト
3] 接近した他船などの映像への乗り移り
4] 多重反射偽像によるロスト
5] 降雨クラッタによるロスト
2) 既存レーダーの追尾率は99.99%以上であることが確認された。設計目標であった追尾率は99.99%以上を満足していたことから、追尾パラメータの追尾ゲート幅などは適切な値が設定されていたことも確認できた。
3) 現状調査の結果、新方式レーダーを船舶通航業務システムに採用するに当たっては既存レーダーの船舶通航業務システムでの考え方を大幅に変更しなくても良いことが解かった。