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1] 処理周期が短くなることの効果

追尾の処理周期が約3秒になると、追尾結果及びその他の監視情報などシステム全体の表示更新周期も約3秒になる。すなわち、システム全体の操作表示の応答性などが向上する。例えば、情報管理装置における航路通過実績リストの表示更新周期及び操作応答待ちの時間なども、従来の半分に短縮される。周期が半分になると、35ノットまでの一般船の追尾でその周期での移動距離が追尾ゲート幅の半分となり、移動距離の2倍の追尾ゲート幅を使って行うことになる。

誤差円の半径Rの内部に船位が存在する確率をP、船位観測値の標準偏差をσとすると、

p=1-exp(-R2/2σ2)

の関係がある。(平成11年度の中間報告書参考資料6参照)

 

084-1.gif

 

ここで、p=0.5とすると、R=R0=1.1774・σであった。この誤差円の半径R(追尾ゲート幅に相当する)を2倍にすると、

R=2R0=2×1.1774・σ

となるが、この誤差円の半径Rが2倍になった場合の確率pは

p=0.9375(=0.5×1.875)

となる。(この詳細については平成11年度の中間報告書3.5.5参照)

すなわち、新方式レーダーにおいては35ノットまでの一般船の追尾において追尾ゲート幅の内部に船位が存在する確率はp=0.9375となって、従来レーダーによる35ノットまでの一般船の追尾において追尾ゲート幅の内部に船位が存在する確率のp=0.5と比較すると約1.9(=1.875)倍の確率で追尾されることとなり、新方式レーダーによる35ノットまでの一般船の追尾性能が向上することになる。(この効果の詳細については平成11年度の中間報告書3.5.5参照)

 

2] 追尾結果が安定し、追尾の確率が上がる結果、乗り移りやロストが減少する。

新方式レーダーでは処理周期が約3秒(従来レーダーの処理周期の約6秒の半分)になって、約6秒の整数倍の特定時間内では、データ数が倍増する結果となり、追尾の処理結果(平均値)の標準偏差σ平均は各観測値の標準偏差σの1/√2倍になる。

標準偏差が1/√2倍となることは、前記誤差円の半径R(追尾ゲート幅に相当する)を√2倍とした事に相当し、追尾ゲート幅が同じ場合であっても確率は大きくなる。

 

 

 

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