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3.6 現状調査結果の考察

追尾の現状は前記の実態調査結果及びアンケート調査結果に示したとおりであるが、これについて考察を述べる。

 

3.6.1 追尾率の調査結果について

3.4.1項で示した実態調査(1)で得られた追尾率(0.99993)と実態調査(2)で得られた追尾率(0.99986)とはほぼ同じ程度であり、システム換装前の追尾とシステム換装後の追尾で差が無い事を示している。実際には、追尾のロストと乗り移りの発生率は、主に気象(風雨)状況と船舶分布の変化により変動すると思われる。

実態調査(2)の際の気象などの環境条件及び追尾のロストと乗り移りの事例数ではこれらの詳細原因を把握するにはまだ少なく、今後の長期間にわたる事例の収集とその解析結果を待つ必要があろう。

実態調査(2)で、ロストと乗り移りの原因の分析を行なったが、アンケート調査とは条件が異なっていたため、「船舶の陰によるロスト」、「多重反射偽像によるロスト」、「降雨・波浪クラッタによるロスト」、「接近船への乗り移り」、「複数エコーに割れて乗り移り」の順に件数が多かったが、今後この順に対策することが妥当と考えられる。

 

3.6.2 ID付与された航路通過船舶の追尾の失敗数と成功数の割合による評価

 

表3.6.2 ID付与された航路通過船舶における追尾の失敗数と成功数の割合

059-1.gif

 

なお、この成功数と失敗数の抽出条件は限定されたものであるため、例えば東京湾全域にわたって一律な条件とはならない。したがって、この成功率で既存レーダーによる船舶の追尾性能を一律に評価することはできない。

 

 

 

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