3.3 追尾性能の現状調査
追尾プログラムの変更はプログラムに付随するパラメーターの変更によって可能であることは3.1項で述べたとおりであるが、変更するためには現状のプログラムによるロストと乗り移りの状況を分析考慮してみる必要がある。そこで、実際の追尾性能を統計的に確認するため、現地で実態調査した。各調査の主な目的を次に示す。
1) 実態調査(1)では追尾率及びロスト率と乗り移り率を調査する。
2) アンケート調査ではロストと乗り移りの推定原因と割合を調査する。
3) 実態調査(2)ではロストと乗り移りの事例を収集する。
以下、調査実施した方法について述べる。
3.3.1 現状調査の実施内容
現状調査は、運用実績が一番長い東京湾海上交通センターのシステムを利用した。
また、追尾性能の評価のために、主に航路航行中の監視船舶(ID付与船舶)を対象とし、ロスト又は乗り移り等の状況を調査することとした。同時に航行船舶の速度分布のデータを使い、新方式レーダーによる追尾性能の向上のための資料を収集した。
調査方法は、レーダー運用卓により直接追尾率を調べる実態調査と、現地運用管制官の経験に基づいた長期間の状況をアンケート形式で調査を実施した。
なお、8月に同センターのシステムが換装されたため、その前後2回の実態調査を行い、ロストと乗り移りとなった事例のデータを収集した。
3.3.2 現状調査の概要
1) 使用機器
現用のシステムに接続された(予備の)レーダー運用卓(1台)
2) 現地作業予定
実態調査(1)は6月27日の約半日(10時から16時頃)
実態調査(2)は10月の16日12時〜19日12時(約3日間)
3) 現地作業
現地作業は専門員2名が行う画面記録と、運用管制官の協力によるロスト記録の調査とした。追尾状況の確認のため、レーダー運用卓のGD画面を録画(撮影記録)した。