自動レーダープロッティング装置(ARPA)では追尾の対象とするエコーのみに制限して入力するために追尾ゲートを使用しており、実際には入力される実像を一部除去してロストさせてしまう設計となっているが、当初からVTSシステムの追尾では、最良の追尾結果を得るために実像を除去してしまうことを極力無くすよう、レーダーで入力したエコーを全て追尾の対象とできるように追尾ゲートを取り扱っている。この点、ARPAとVTSシステムの追尾ゲートの取り扱いは違っている。
3.2.7 追尾ゲート幅と追尾率(及びロスト率と乗り移り率)の関係について
追尾ゲート幅の初期値は、「追尾物標の位置確率が最大となり、かつ、その他の物標の位置確率が最小となる、すなわち物標などの位置確率が等しくなる位置で定まる」ことは、昨年度の報告書参考資料7に示したとおりである。
図3.2.7は、追尾のゲート幅と追尾できる確率(追尾率)との関係を示したものである。既存VTSシステムのレーダーによる測位誤差は標準偏差(σ)=約26.9mとし、追尾ゲート幅(W)をそのσの1〜4倍とした場合における追尾できる確率(追尾率)を示している。因みに、既存VTSシステムの追尾ゲート幅(W)の設定値は約108m以上(初期値は110m)、追尾率は99.99%以上で設計されている。