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3.2.6 既存の追尾ゲート幅の初期値設定

既存の追尾パラメータの追尾ゲート幅W[m]の初期値については昨年度中間報告書参考資料7に示したが、次のとおり定めている。

上限値は物標間の最接近距離とする。最接近距離のRcは管制船舶を3000トン以上の範囲とした時、船体長100m以上として航路航行中約110m以下には接近しないと云う統計値によっている。下限値は移動物標の最高速度で処理時間内に移動している距離としている。すなわち、追尾処理の時間間隔をΔT[秒]=6秒、追尾物標の最大移動速度をV[m/秒]=35ノット(約18m/秒)とすると、物標の移動距離はS[m]=約108[m]となる。

この追尾ゲート幅Wの値が、実際の物標間の最接近距離Rc未満となる値であれば、ロストの割合は50%以上となり、乗り移りの割合は50%以下となる。この追尾ゲート幅Wの値が、実際の物標間の最接近距離Rc以上となる値であれば、ロストの割合が50%以下となり、乗り移りの割合は50%以上となる。(詳しくは、図3.2.6.1と図4.2.6参照)また、実際の観測結果では、乗り移りの後、船舶はロストとして観測されるので、乗り移り後にロストとなる確率を含めて考えると、全てロストとなり乗り移りの確率は無くなることになる。

 

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図3.2.6.1 追尾ゲート幅W[m]とロストと乗り移りとなる確率の関係

 

因みに、既存の各海上交通センターなどの追尾ゲート幅W[m]は、物標間の最接近距離Rcが110[m]であれば、追尾でロストと乗り移りとなる割合が理論上で各々50%となるため、110[m](初期値)となっている。

 

 

 

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