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このロスト率+乗り移り率は、データ通信を行うときに通信路の雑音により通信誤りを発生する際の確率として定義されているビット誤り率に相当するものと考えられる。

識別(ID)符号が付与されていない全船舶の追尾についてもこの追尾率は基本的に同じである。従って、(監視対象船舶に)IDを付与している船舶(航路通過船舶数は最大250隻/日)をサンプルとして取り扱っても全体の追尾率は評価できる。

 

表3.2.1 追尾率と失敗数の試算

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3.2.2 成功率

追尾率が99.995%と云うと、この数値は船舶が追尾でロストや乗り移りを起こしている現象が起きる割合を感覚的に表す数値ではなく、実際の感覚より良すぎる数値となって、この数値以上の追尾性能の向上対策が不要と誤解されてしまうことが懸念される。追尾率はアンテナ回転数より計算した確率値であるが、「これとともに、現象の起きた割合が感覚的に分かるデータ値を採り上げるようにするべきだ」との考え方もある。

追尾をしている全船舶数に対して、ロストや乗り移りとなった割合について吟味して、ある時間中に、ある区間を通過している船舶総隻数に対し、ロストや乗り移りによって追尾できなくなったものを除いた捕捉している船舶隻数の割合として成功率(捕捉成功している割合)を考えることもできる。例えば、成功(又は失敗)率=「識別符号が付与され航路通過した船舶のうち成功(又は失敗)した数」/「識別符号が付与され航路通過した全船舶数」となる。

この追尾の成功数と失敗数の割合による成功率(=1-失敗率)では、船舶の種類、大きさ、動静などの条件を選択して所望の計算結果が得られる。

しかし、この条件を一律にすることはできないため、この成功率(又は、失敗率)で追尾を一律に評価することは難しい。今回の実態調査では表3.6.2に示すとおり中ノ瀬航路内、浦賀航路内等の選択した条件での成功率を調査した。

 

 

 

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