ロストの場合には算出したエコーの位置、大きさ、速力、針路、及び追尾の状態を含むトラッキングデータの外部への送出を停止してその追尾を終了する。6秒間に25隻追尾していた場合に消失(ロスト)隻数は25×0.00781=0.19525となり、約30(=6/0.19525)秒間に約1隻ロストすることになる。また、追尾率は1-0.00781=0.99219となる。この追尾率は連続して7回エコー入力が有った場合に追尾できる確率(位置確率・条件発生確率・継続確率・成功確率)に相当する。例えば追尾率が0.99998の時に追尾の失敗数は1時間に3件、追尾率が0.99995の時に追尾の失敗数は1時間に9件、追尾で失敗した(ロストと乗り移りとなる)場合(注1)があることになるが、この追尾で失敗した場合に管制運用官が1時間に3件〜9件の識別(ID)符号を再付与すべき運用操作を考慮すると、追尾率(=1-(ロスト率+乗り移り率))はこの程度でも十分であるとはいえない。
(注1) 現行のVTSシステムでは、監視対象船舶への識別(ID)符号の付与は手動となっており、識別(ID)符号が付与された船舶の追尾で消失(ロスト)となった場合にはロストマーク(?)がそのロストした位置に表示される。このロストマークを消去することも手動となっている。船舶の追尾でその他の船舶を追尾する場合に乗り移りとなる。