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3.1 追尾処理プログラムの開発経緯

新たな追尾方式を検討するに当たって、始めに現行の追尾処理の開発及び保守の経緯の概要を説明する。

既存VTSシステムのレーダー映像量子化装置には蓄積プログラム方式の逐次型計算機(いわゆるノイマン型計算機)が使われている。ノイマン型計算機の特徴の1つとして決定的処理方式がある。これに関しては、「非ノイマン型コンピュータ(田中著、社団法人電子情報通信学会、コロナ社)」に「計算機が決定的オートマトンであって、前の状態と現処理とによって次の状態が決定的に定まり、確率的に定まるのではないこと、この性質は処理の再現性を保証する上で重要である」と述べられている。

このようなノイマン型計算機は、プログラム(固定的に定まっているものであって、変わらないことを意味する)を変えることによって、容易にさまざまな目的に使えるという柔軟性、機械命令を1つずつ取り出しては簡単な処理をするという動作の明快さ、単純な構造による作りやすさ、使いやすさ故に、広く発展するところとなり、今日に至っている。

既存VTSシステムのレーダー映像量子化装置の追尾処理プログラムのアルゴリズムは、基本的には当面変更は不要と考えられ、入力するレーダー信号は主にその海域の地理的条件などによって左右されることから、追尾プログラムは変えずに(ソフトウェア上で定数管理となっている)追尾パラメータを変えることによって、さまざまな要求(追尾性能要件)に使えるように設計されている。今後とも、追尾処理上の問題はソフトウェア問題としての解決が要請されようし、追尾処理などの大規模ソフトウェアは新たな開発又は既存ソフトウェアの保守であっても、その時点にあっては困難を極めるであろうこと、などを開発当初から考慮して、いつでも最適化に(極力、追尾パラメータ変更で)対応できるように、その予防保全の対策が実施されてきている。

したがって、今回の追尾性能向上を目的とするプログラムの変更も、要素プログラムのパラメータ変更によって対処できると考えている。しかしながら、変更に際して、プログラムの性能と環境における動作の実態を調査することが必須である。

 

 

 

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