7.3 削除。
7.4 一般に、AISの追尾は、
− 精度が高い
− リアルタイムに近い
− 物標の進路変更を直ちに表示することが可能
− 物標の乗り移りがない
− クラッター内で物標が消失しない
− 早い動きによって物標が消失することがない
− 屈曲部の曲がった先及び島嶼の後背部を見ることができる。
しかしながら、利用者はAISを唯一の情報システムとして依存すべきではなく、入手出来るあらゆる安全関連情報を利用しなければならない。
7.5 AISは、当直士官が入手できる数多くの航行安全援助設備の一つに過ぎない。AISが船上にあるということは、STCW規約により決定される航海当直の構成に何らの影響も与えるものであってはならない。
7.6 AISが無い場合の航行状態を評価するとき、当直士官は他船或いは物標を自船に比較して評価する。AIS情報は地理的な基準(地面が動かない)での情報であり、船舶の実際の航行上の動きをリアルタイムに近い状態で呈示する。したがって、AIS情報を目視又はレーダーにより観測したものと合わせようとするときには注意しなければならない。
7.7 船舶か一旦検出されると、AISは物標としてのそれの追尾を支援できる。その物標が放送する情報をモニターすることによって、その行動も容易にモニターできる。例えば、船首方向及び進路の変更は直ちに明らかになり、レーダーによる追尾での問題、つまりクラッター、船舶が近接して通過する場合の物標の乗り移り、早い動きによる物標の消失、などの多くはAISでは問題とならない。
7.8 AISは、船名又は呼出し符号、船種、及び航行状態によって物標の識別を援助することも出来る。しかし、この物標を識別する能力が、船舶に衝突の危機回避にVHFを積極的に使用させるようなことにしてはならない。更に、船舶は1972年の海上における衝突防止に関する国際条約(COLREGS)の規則に反する衝突防止行動に同意してはならない。COLREGSを遵守することは、適当な灯火及び形象物を標示すること以外に、VHF又は何か他の船舶間通信手段を使用しなければならないということではない。実際に、音声VHF通信に頼ることは、言葉を誤まって解釈することがあり、出来るだけ避けるべきである。