7.9 船舶が近接した状態が醸成されつつあるときに、AIS情報があるからといって視認及びレーダー観測のみの通常の状態のときよりも長くそのままでいるとういことがあってはならない。COLREGSで求められているように、他船との間隔を十分に空けるために早めの実際的な行動を常にとるべきである。
7.10 AISはCPAやTCPAなどの衝突防止パラメーターを計算することができる。当直士官は、AISで計算されたこれらのパラメーターは、同じ物標についてレーダーで計算されたものとは異なるであろうことを知っていなければならない。
7.11 レーダーを使っていて、AISとレーダーの物標を一致させようとする時は、レーダーとAISの物標ベクトルを比較するために、レーダーを地上固定モードに切り換えることが重要である。
8 その他将来の応用
8.1 捜索救助活動におけるAIS
AISは、既にある程度、捜索救助活動、特にヘリコプターと海上との協力捜索に使われている。AISは遭難船の位置をレーダーやECS/ECDISなど他の表示器に直接表示することが出来るので、捜索救助船艇の作業を容易にしている。遭難船は特別な記号で表示することが望ましいであろう。AISを装備していない遭難船の場合は、現場指揮官(OSC)は実際的な範囲で疑似AIS物標を作りだすことが可能である。
8.2 航行援助
AISを選定した固定及び浮き標識に取り付ければ、海運関係者に次のような情報を提供することが出来る。
− 位置
− 状態
− 潮位及び海流データ
− 天候及び視界条件
8.3 全体的な情報システムとしてのAIS
AISは全体的な国際海上情報システムにおいて、航海の計画及び監視という役割を果たす。このことは、関係海域内の全ての船舶を監視し危険物貨物を追跡するための管理を支援することになる。