5.1 送受信ユニットの運用
5.1.1 電源投入
AISは常時、運用状態にしておくべきである。港湾管理者にとって重要な情報となるので、港内に在泊中はAISの電源を切らないことが推奨される。船長がAISを続けて運用することが自船の安全又は保安上で問題があると信じるのであれば、電源を切ってもよい。しかしながら、危険の原因が消失すれば速やかにAISを再起動すべきである。海賊や武装窃盗団が暗躍していることが知られている海域にいる場合などがこれに当たる。この種の行動は、船舶の航海日誌に常に記録しておくべきである。AISが断になっても、静的データと航海関連情報は保存されて残っている。再起動はAISノットの電源を入れることで行われる。船舶の自己データは2分間の初期化時間の後、送出される。
5.1.2 データの手動入力
当直士官は、航海開始時及び下記の情報に変化が生じた時には、キーボードなどの入力装置を使って手動で入力しなければならない。
− 船舶の喫水
− 危険物貨物
− 目的地及び到着予定時刻
− 航路計画(通過地点)
− 正しい実際の航行状態
− 安全関連短文メッセージ
5.1.3 情報の点検
静的情報が正確で最新のものであることを確認するために、当直士官は事あるごとにデータを点検しなければならない。このことは、最低でも一航海ごと又は一ヵ月ごとの何れか短い方で実施すべきである。データの変更が出来るのは、船長若しくは権限を与えられた人物だけである。
当直士官は次の動的情報も点検する。
− 位置がWGS-84によっていることの確認
− 対地速力が表示されていることの確認
− センサーの情報が周期的であることの点検
起動した後に、内蔵インテグリティ自動点検が行われる。AIS何処かが動作不良であるときは、警報を発し、ユニットは送信を停止する。
しかし、AISに入力される船舶センサー・データの品質又は正確度は、他船及び陸上局に放送されるまでは、BIIT回路で点検されない。したがって、船舶は発信されている情報の品質を確認するために、航海中は定期的に点検を実施すべきで、これらの点検の頻度は、沿岸水域では増大させる必要があることになる。