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2. 会議概要

 

議長の開会の挨拶に続いて、各出席者が簡単に自己紹介を行った。この機会に、日本として初めて出席したが、我々が入手するITU-R M.1371の修正案は次々と修正が行われていて、非常に混乱しているので、その辺りの事情を把握したいと述べた。混乱していると述べたことについてはある程度の理解が得られたと思われる。

審議の進め方として、文案の作成及び修正はパソコンとプロジェクターを使用し、スクリーンに映し出された文章を皆が見ながら意見を言い、それに基づいてパソコン操作者が文章を修正し、その状況がそのままスクリーン上で確認されて次々に進んでいった。この方法はスピーディではあるが、文言が思いつきになり易いので、後日改めて文章の吟味、及び他の事項とのすり合わせが必要と思われる。

会議の報告書は別記のとおりであるが、技術基準の修正については、スウェーデンほかでの実験の際に発生した問題点が取り入れられるため、実験に参画していない国にとっては口を差し挟む余地がないように見受けられた。

AIS委員会の差し当たっての目標は、2001年9月に技術基準案を作成し終われば一応達成されることになるが、実際にAISの義務化が実施されることによって、種々の問題が生ずることが予想されるので、それに対応するために委員会を継続することとし、審議事項についての案の検討が、技術基準修正のWGの作業に平行して行われた。

最終日に、AISの表示記号について議長が、提出された資料を見ながら統一化する必要は余り無いのではないかと発言したが、これに対しドイツ等が猛烈に反対した。議長の趣旨は、船上でのAISの使用において幾つかのメーカーの機器を見比べながら使用することが余り無いであろうし、その機器独自の記号に慣れてしまえばそれで良いのではないかということであったが、これまで記号の統一について検討を続けてきた委員にとっては、やはり重大問題であったようである。この問題についての審議は次回送りということで決着した。

最後に議長提案として、IMOによる船舶への設置義務化の期日が切迫していることもあり、委員会と委員会の中間で一部委員による臨時委員会を開催することが議題になった。これについては、前々からそういう動きがあったようで、異議なく了承され、出席者の確認が行われた。しかし、もう1件、9月の委員会までに最終結論を出さねばならないことから、これまで3日間であった会期を5日間にしたいという提案については、全員か意見を述べたが反対も多かった。最終的に挙手採決となって5日間が決まった。

公式報告書のほか、会議に提出された資料のうち、関係の深いものを添付する。

 

3 むすび

 

AISはVHF/DSC方式と放送方式の主導権争いから、NAV 43により一転して実質的に放送方式であるユニバーサルAISが世界の標準として認められることとなった。

 

 

 

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