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国際航路標識協会

第8回AIS委員会出席報告

 

第8回IALA AIS委員会が、平成12年11月6日から8日まで、フランス国サンジェルマン・アン・レイのIALA本部で開催され、当協会嘱託 豊福滋善が出席したので、概要を報告します。

 

1. 前文

 

AIS(Automatic Identification System:自動識別システム)は、デジタル技術を取り入れた通信方式により船舶の情報を船舶間及び船舶陸上間で自動的に入手するもので、船舶の航行安全対策の一貫として数年前から急速に注目されて来たものである。方式は大別して英国、米国等が主張したVHF/DSC(選択呼び出し方式)とスウェーデン等が提案した放送方式の2種類があり、どちらを国際標準とするかで紛糾したが、1997年7月のIMO第67回海上安全委員会は、両方式にこだわらず長期的視野で世界共通の単一のユニバーサルAIS方式を実施すべきであるとして第43回航行安全小委員会(NAV 43)で検討させることとした。

紛糾の原因は、DSC方式が既に数カ国で試験的に実施されており、放送方式は未だ実験段階にあって規格が確立していないが機能的には優れていると認識されていたことにある。検討を指示されたNAV 43が作成したユニバーサル舶用自動識別システムの性能基準案は、最終的に、放送方式を基礎としていた。

この性能基準案はITU(国際電気通信連合)に送付され、ITU-Rの作業部会8Bで審議されて翌1998年7月に新勧告ITU-R M.1371案として承認された。

また、ユニバーサル舶用AISの搭載を船舶に義務付けるため、SOLAS条約第V章第20規則が改正されることとなった。搭載義務船は、すべての旅客船及び総トン数300トン以上の貨物船で、2002年7月1日の発効を目指している。

IALAは、これに対応して技術基準の作成を進めることとし、AIS委員会を発足させた。この委員会は年3回のペースで精力的に作業を進めて来て、今回はその第8回目であるが、進捗状況は必ずしも満足のいくものとは言えない。これまで日本国内で入手された基準修正案では、数値が何の説明もないまま訂正されているし、本文も方々で修正されているが、どの箇所がどういう理由で訂正されたのかの説明もないのが実情である。

今回は、基準案修正の作業がどのように行われているのかを把握することも重要な課題であった。

 

 

 

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