a. VTSセンターにおいて受信・発信する無線通報の水準
船舶と陸上との間の無線通信は、必須の構成要素である。VTSOが取り扱う無線通報の各々の項目は、解釈と行動とが行われることを要求する−これは、ある作業負荷を発生させる。この影響を最小限に留めるために、無線通報は、明瞭で要約されており手順上正確である、というやり方で行われるべきである。装置についての考慮事項で効率的な無線通報を促進させることができるものには、高品質の送受信機、十分な電波の有効範囲(つまり、最少の『盲点』を伴っていること)、VTSセンターにおいて高品質のスピーカー及びヘッドフォンを使用すること、VTSセンターにおける背景ノイズが許容できる水準にあること、などがある。
無線についての作業負荷は、船舶と陸上との間の情報交換に、GMDSS及びAISなどのような代替手段を用いることによっても軽減されることができる。印字を使用するシステムは、多くの場合、運用者の注目を要する頻度がより少なく、また、口頭による英語の基準が異なることから生じる通信の困難性を緩和させることができる。
b. VTSセンターにおいて受信・発信する有線電話通報の量
VTSセンターが掛けるまたは受ける電話は、各々がVTSOに作業負荷を発生させる。VTSセンターは、複雑な情報網の中核に相当しており、そのために、基本的な使命とは直接関係がない大量の質問を電話で受けることになりかねない。VTSセンターに十分な職員が配備されていない場合は、この電話通報は深刻な混乱を呈示する。従って、VTS組織は、VTSセンターに発着する、及び、外部に公表されている主要な電話番号へ着信する電話通報の性格について、明確な方針を打ち出しておくべきである。VTSセンターは、通常、常時運用状態にあるので、別の作業及び目的のために時間外の連絡個所として利用することは避けられるべきである。
当直担当者の緊急及び計画外事象を処理する能力
VTS組織にとって、VTSセンターにおける定例水準の活動を決定すること、及び、潮流・荒天・通常執務時間・昼間/夜間運用、などのような要因により動かされる予測可能な変動事項を判断することは、比較的に単純であろうと思われる。しかし、緊急事態が発生する可能性は、常に、存在している。VTS業務提供海域内における緊急事態は、何れも、当直担当に余分の作業負荷を生じさせることになり、緊急事態が深刻であればあるほど、より大きな作業負荷の高まりがある。
VTSセンターは、大きな内部的及び外部的な事件を処理するための不測事態対策を持っているべきである。この対策の発動及び運用は、実施するのに時間を要する。この期間における作業は全てが厳格に最優先されなければならないことを受け容れて、不測事態対策が全面的に効果を発揮するまで、作業負荷の高まりに対処するための十分な要員が存在していなければならない。