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1.2 本調査の目標

(1) 全体計画

本調査は3年計画で、平成11年度に引き続き、下記の三項目の新たな開発途上国港湾管理者の研修方式を構築する事を目的に調査を行った。

 

i. 港湾の総合生産性証価モデルを用いた研修方式

港湾管理・運営の良否を確定する要素として、入/出港手続き、荷役方式、コンテナ保管・荷役方式、通関の所要時間・方式並びにその他関連書類等が港湾物流の生産性向上にとってどの要素がどの程度、管理・運営に影響しているかを総合的な観点から証価する必要があり、その為に各要素の生産性証価基準を定め、これらの各要素の証価点に港湾物流全体の生産性に寄与する重点的項目を加味し、管理・運営の総合証価を行う手法の開発を行い、この手法を活用して港湾物流の証価を研修の過程において実際にの港湾に適用する実習を通して、港湾全体の生産性向上の重要性に関して研修員の理解を深める。

 

ii. 港湾物流の総合生産性と投資効果算定モデルを用いた研修方式の開発

上記(i)のモデル開発に引き続き、有限の施設を活用し、港湾全体システムの最大の改善効果を挙げる為の最良な投資計画の検討、その為には(i)で抽出した管理。運営に影響を与える各要素に関し生産性向上を図る為に必要なコスト及びそのコストで得られる効果の算定モデルを開発する。

この算定モデルを用いて研修員は自らの管理・運営する港湾を総合的に生産性を向上する為の投資計画に関し、メニユー方式の代替案を検討し最適な計画案を選定する。

 

iii. コンテナターミナル経営ゲーミング・シュミレーションを用いた研修方式

開発途上国の港湾の生産性を一層高める為、研修員に港湾施設の管理・運営能力の向上のみならず、経営マインドを醸成させる事が極めて重要な要素であり、その為の生産性向上の根幹となるコンテナターミナル運営の各場面を想定し、重要項目のみに単純化した標準的なコンテナターミナルモデルを設定し、その施設の運営に経営者的立場で参図出来るゲーミング・シュミレーションソフトを開発する。研修員は複数のコンテナターミナルとコンテナ船運航会社のロール・プレイを演ずる事により、最大の効果(利益)をコンテナターミナルの勝ちを競うゲームにより研修員の経営的マインドの向上を図る。

 

(2) 平成12年度の調査目標と内容

昨年度と同様「港湾物流の総合生産性証価モデル」を開発する事を目標とし、先進港湾としての欧州地区の主要コンテナ港湾と比較的開発の遅れているカリブ海諸国の港湾(パナマ、キューバ及びキングストン)に調査団を派遣し、港湾管理・運営に係わる生産性証価に必要な各種情報収集を行い、収集した資料を取りまとめ分析する事により、

1] 港湾物流に影響する各要素の抽出。

2] 各要素に対する生産性証価の検討。

3] 各要素の港湾物流システム全体の総合生産性に与える効果関数(重要度)の決定を行い、生産性の総合証価を行う手法を開発する。

その中で研修員を対象である、開発途上国の港湾管理者である事を考慮し、コンテナターミナルの開発初期の生産性を高める為に港湾管理者が果たすべき役割を明確にし、更にその役割を十分に果たされているか否かと言う観点から管理・運営に伴う証価方式の検討を行っている。

 

 

 

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