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1. まえがき

 

1.1 本件調査を実施するに至った背景

財団法人国際臨海開発研究センターは1976年の創立以来20余年間にわたり、開発途上国の港湾計画策定を行っている、最近はコンテナターミナル開発を主とする港湾管理・運営の近代化を目標とする調査も数多く実施している。

これらの港湾計画策定調査の主要な部分は、港湾インフラの整備計画フィジビリティー調査であり、開発調査の結果を元に当該国政府が今後港湾施設を整備して行く為の基本方針を定め、更に、国際金融機関(特に円借款)を要請する為の資料として活用されている。

その為、港湾インフラの整備計画の実行可能性に関し、国家経済の状況から、港湾計画策定調査の実施において、港湾インフラ整備のみならず、港湾管理・運営の効率化並びに管理者主体の財務状況の改善等を目的に、管理・運営に関する多様な助言や勧告を行っている。

以上の様に港湾の開発に伴う計画調査は、コンテナ関連施設の整備の他に管理・運営(ソフトウェアー面)に重点が置かれる様になっている。

この様な状況下で、国際協力事業団が毎年実施している集団研修においても、従来から実施している港湾工学コース、コンテナターミナル計画コース並びに港湾管理・運営コースに開発途上国の港湾関係者が多数参加している。

港湾インフラ整備に関しては、長年の港湾工学の研究成果や経験及び実績があり、標準的な開発計画、設計指針が完備されており、国際協力事業団の研修においても系統だった研修を実施している。

コンテナターミナルの管理・運営に関しては下記の様な背景から必ずしも系統だった研修が実施されているとは言えなかった状況にある。

コンテナターミナルの管理・運営に関しては、世界の主要港湾ではコンテナターミナル施設及び運営形態は基本的には共通する部分があるが、研修期間において日本国内の先進コンテナターミナルの現状を見学すると共に標準的な施設と物流の状態等を習得する事に重点がおかれている。しかし、コンテナの扱い量の少ない開発途上国の場合、先進国の港湾でみられる様な自動化を取り入れた標準的な施設や運営形態をそのまま導入する事は必ずしも得策とは言えない、扱い量の少ない小規模港湾に適合したコンテナターミナル施設整備水準並びに運営形態を十分に配慮し、研修においても各参加国の事情に応じた整備の必要がある。

また港湾管理・運営に関しても各参加国の歴史的背景、並びに国内の物量等による港湾毎に、管理・運営形態が異なっており、この様な世界各国の港湾管理・運営形態の相違について、すでに広範囲な調査が実施されている。

この様な背景から、今後、開発途上国港湾管理者に対するコンテナターミナルの開発、管理・運営に関する研修において、参加国の事情、港湾の規模等に応じた適切な研修が行える様、必要な教材として整えることが望まれている。

 

 

 

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