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1.7 課題

 

冒頭では、「概ね各業者とも落ち着いてきた」と書きましたが、利用者(現場)の実態としては、日常の業務処理において関係店社がどのような形でシステムに参加しているか、または参加していないかがわかってきたことで、それなりの業務対応が出来るようになったと言うのが本音とも言えます。また参加している業者の意識(参加姿勢)にばらつきがあるのも事実で、現状の一旦と言えるでしょう。

今回の新海上システム(プログラム)は、貨物の流れ、情報の流れ、法律との関係を意識して設計され、先に述べたような仕様変更を行いながら実情にも適合しつつ進化してきています。

新海上システムでは、継続する情報の流れの中で下流の人が上流の情報を活用し、更に下流へと情報が流れていきます。輸出入に関わる異業種間で適時・適切に情報入力することで始めて有機的に機能する訳ですから、「発生した情報を後でまとめて入力する」とか「特定の業務だけ処理する」とか「自社に必要な業務だけ処理する」と言ったことの無いようにしていく必要があります。

このあたりを具体的に見ていくと、船社がNACCSに参加するメリットはACL業務によるB/L作成にありますが、処理率が低水準であり、CYでは船社のより多くのシステム参加、ACL業務の適切な入力があり、マニュアル処理が減らないことにはシステムメリットがありません。なぜ、B/L情報が流れないのか、CYではバンニング情報登録されているコンテナの割合が50〜60%にとどまっており、またCYで必要とするタイミングを大幅に遅れてバンニング情報が登録されてきており、結果として使えず滞留データとしてシステム内のゴミとなってしまう。バンニング情報登録が遅れる一つの要因として、通関業者が輸出貨物の情報登録をシステで行う前に貨物が倉庫へ搬入されてしまい、倉庫では突合せ処理等の業務が煩雑になり、結果バンニング情報がうまく流れていかない。

次に今回の新海上システムをペーパーレスという観点から見てみますと、監視関係の業務では当初からペーパーレスが実現されており、税関に行かなくても済むというメリットが出ています。保税関係では、ペーパーレスに向けた仕様変更が具体化されつつあり、改善の方向に向かっています。

通関関係ではどうか、例えば申告業務を例えにとってみますと、一種類の貨物、つまり1欄申告の場合でもA4の用紙が3枚印刷されてしまいます。申告業務全体の8割が、この1欄申告と言うことで、官側としてもゲートウェイユーザへの影響を考慮に入れつつ、印刷枚数を2枚にする方向で検討がなされているようであるし、そもそも申告項目が多いとの意見に配慮し、申告項目自体の削減に結びつくようなプログラムの変更を検討しているようである。

 

 

 

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