日本財団 図書館


大手企業だけでなく、中小企業も参加する電子貿易取引を展開するためには、インターネットや電子メール上で簡単な手順で、低廉かつ安全な電子商取引が実施できることが望ましいのです。技術的側面では、国連CEFACTが1999年11月から、オアシス;OASISというコンソーシァムとの協力の下に開発しているebXML標準が本年5月に完成する予定なので、これによって電子商取引の新しい局面が展開するでしょう。

さて、電子貿易取引における情報システムの国際的連結を、図2に描いてみました。左右の輸出貿易手続と輸入貿易手続は、本来はそれぞれ異なる国(輸出国と輸入国)の情報システムを掲載すべきですが、ここでは、便宜的に、わが国の情報システムを載せました。現在、稼働しているのは主として行政システムです。TEDIクラブやBOLERO協会がさらに拡大するには、多数の貿易関連企業の参加を必要とします。それだけでなく、円滑な電子商取引を実現するためには、国際間の電子メッセージの流れを安全・確実にする国際的な法的環境を整備しなければなりません。これらの課題は、主として図の真ん中の長鎖線で囲んだ部分です。この中に示されている課題が、国際間の電子商取引を展開するために必要になると考えます。これらの中には、少なくとも図2の1]〜5]に掲げる項目が含まれます。番号は必ずしも優先順位を示すものではありません。また、これ以外に新しい項目がでてくる可能性があります。国連CEFACT/LWGの作業計画に従って、これらの課題の概要を簡単に説明します。

 

3.3.2.1 国連勧告第31号:モデルEC協定書

まず、図2の1]に示す部分です。売主(輸出者)と買主(輸入者)の間で、電子メッセージによって商談・契約締結を行うためには、事前にEDI交換協定を結んだり、電子メールによってこれを行わなければなりません。電子メッセージの交換によって売買契約、運送契約、保険契約などを締結する前に、情報通信方式の種類、電子メッセージの種類、情報伝送規約、表現変換規約などについて取引当事者間で協定を結んでおかなければならなりません。これについては、国連勧告第26号が1995年に採択されています。昨年3月に採択された国連勧告第31号は、広く一般にEDI、ウェブサイト、電子メール等によって契約を締結するためのモデル電子商取引協定書です。勧告第31号については、本報告書の巻末に本文を掲載します。上記のとおり、ebXML標準が開発されて、PCとインターネットによるBtoBの電子商取引が実施される場合、新しいモデルEC電子協定書の開発に取組むことになるでしょう。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION