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しかし、このシステムは米国ではあまり注目されませんでした。その理由として、まず管理機関が単一の中央登録機関でないため、情報管理の効率性を欠いていること、次ぎに、システムの故障等の場合におけるリスクの配分を含む責任に関する規定が不明確であることが指摘されています。したがって、この方式は、企業内取引あるいは船会社に密接な関連をもつ企業間の取引の場合を除いて、広く一般には受け入れられないであろうという結論に終わりました。

 

2.4 電子式船荷証券に関するCMI規則

 

2.4.1 電子式船荷証券に関するCMI規則の概要

取引当事者が電子的にメッセージを交換することを決定した場合、両当事者間には、EDIメッセージの交換に係わる関係が存在します。この関係は、基本的な通信能力を確立することを目的として、相互に合意された技術、業務、法律に関する一連の決定によって構築されるのです。1985年、北欧の貿易協会が、ノルウェーの貿易手続簡易化協会(NORDIPRO)を通じて通信協定に関する統一規則を発表し、1987年には、ICCが、国連ECE/WP.4の協力により、UNCID規則20を作成しましたが、その後、各国のEDI協会や特定の業界を代表するユーザーグループ等によりモデルEDI交換協定書が作成されました。例えば、「電子式船荷証券に関するCMI規則」(1990年)、自動車業界の「ODETTE交換協定書ガイドライン」(1989年)などがあります。

 

電子式船荷証券とは、現行の船荷証券を発行する代わりに、その内容をコンピュータに保存し、運送人(船会社)と荷送人(売主)または荷受人(買主または指図人)が互いにEDIメッセージを伝送して、権利の証明として個人キー(Private Key)を使用することにより物品に対する支配・処分権の移転と物品の引渡を行う方法です。

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20 ICC, "Uniform Rules of Conduct for Interchange of Trade Data by Teletransmission." 1987. 日本貿易関係手続簡易化協会『平成4年度EDI制度手続簡易化特別委員会報告書』(1993年3月刊)、74〜84頁に収録。

 

 

 

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