A. 開発調査(表6参照)
1] 運輸インフラ整備計画に非常に大きな重点が置かれている。上位計画に相当するマスタープラン(M/P)作成、個別インフラプロジェクトに対するフィージビリティースタディー(F/S)が各サブセクターについて広範に実施されている。インフラ整備の準備段階における積極的な支援という側面が最大の特徴といえる。
2] サブセクター毎の傾向として、国別には重点対象はあると考えられるが、全体としては主要な運輸インフラが網羅されている。例えば道路サブセクターに関して、国道・幹線、都市間高速道路、都市内(圏)道路、橋梁、トンネルというようにネットワーク全体が調査の対象となっている。鉄道についても都市間鉄道・都市内鉄道をカバーしている。
3] 維持管理、運営等の運輸インフラの「ソフト面」についても、これらを主目的とするプロジェクトの実施、或いはインフラ整備計画調査の一部として実施されている。ソフト面を主目的とする調査の例として、道路維持管理、港湾管理運営、国鉄経営改善、航空管制システムなどがある。
4] 全セクターに共通してマスタープラン策定にかなりの力点が置かれている。単体プロジェクト、広域的な運輸インフラ整備の多くのケースでマスタープラン策定支援(案件によっては優先プロジェクトのF/Sも含む)が実施されている。広域的な整備計画の具体例としては、全国を対象とした幹線道路網・高速道路・幹線道路維持管理・橋梁改修・都市圏幹線網・高速道路、首都圏トラックターミナル整備、鉄道整備、港湾整備(全国、首都圏、地方、全国の主要港等)、フェリー網、空港建設(全国主要空港、主要地方空港等)、首都圏・大都市圏都市交通計画、全国総合交通計画等がある。単体のプロジェクトでも整備すべき内容が多岐に渡る場合など、整備計画策定と優先順位付け等のためM/P策定援助が実施されている。
5] 国際機関等と比較して支援実績の少ない領域は、運輸政策立案への支援、制度・組織面への支援、民営化・民活に対する直接的な支援等を主目的としたプロジェクトである。既往のマスタープラン等の一部としてこれらが検討される場合が多いが、途上国が一般に直面するこれらの課題に焦点を当てた案件は運輸インフラ整備(及び運営)計画と比較し非常に少ない。政策支援型案件の実施例としては、パキスタンの全国総合交通調査や現在実施中であるヴィエトナムの運輸交通開発戦略調査がある。