新しく免許を受けるタクシーはメーターを付けなければならないことになっているので、メーターのないタクシーの割合は減ってきている。タクシーとして登録できる車両は1500cc以上のガソリンもしくはLPG車で、初回登録から2年以内の車両でなければならず、7年以上は運用することができない。免許タクシーの総数は以前から制限されており、数の増加が安定した。しかし、タクシーの運用権が売買される結果となった。一方、その数の多さにより交通渋滞がひどくなった。
一部ではタクシーが自家用車の代わりにもなっているが、中心部に集中することと客を求めて流す傾向があることで、渋滞の原因になっている面が強い。
現在約7400台のトゥクトゥクが登録されており、ほとんどが中心部で運行している。利用度は高く、一日あたりのべ15万人を運んでいると推定される。
トゥクトゥクは旅行者にも人気があるが、地元住民も荷物を載せたり、狭い路地や渋滞地区をすり抜けたりするのに重宝している。その数は7,400台に制限されているため、営業圏はプレミアム価格がつくほどである。トゥクトゥクは短距離多目的輸送手段として、また大量交通の隙間を埋めるものとしてのマーケットを持ち、今後も生き残っていくであろう。しかし、性能・安全性の低さと運用範囲の狭さを考えるとその数は増やすべきではない。騒音と排気ガスを減らす必要から、電気自動車を初めとしたより良いデザインを開発中である。新規のトゥクトゥク免許は発行されていない。料金は現在は交渉次第であるが、規定される予定である。トゥクトゥクの料金はメーター付タクシーの料金に近くなっている。運行業者によると一日の売り上げは400から900バーツで、運転手は一日200バーツで車両を借りている(運転手が燃料・整備費用も払う)。
5) スカイトレイン(BTS)
BTSと呼ばれる高架式のスカイトレインは、バンコク公共交通システム公社(BTSC)が新しく運行している。BTSは1992年4月9日に事業が始まり、1999年12月5日に運転を開始した。現在Sukhumvit線とSilom線の2路線がある。両路線でも駅が23あり、朝6時から深夜12時まで利用できる。3分から5分間隔の運転で、料金は距離に応じて10から40バーツである。バンコクのBTS路線は、1路線1時間あたり約4万から6万の乗客を運ぶ能力を持っているだけでなく、人口密集地から最短距離の路線を走り、空調が効き座席も十分、遅れは最小限で運行速度も比較的速い。
さらに2002年には、政府企業のメトロポリタン高速交通局(MRTA)が運営する地下鉄(MRT)がバンコクの新しい交通機関となる。中心部の25km2と周辺の87km2をカバーすることになる。
スカイトレインと地下鉄の双方とも通勤客に期待され、BTSCとMRTAが計画するサービスは路線が限られているとはいえ、バンコクのいくつかの交通問題を解決できると思われる。
6) パラトランジット
この他にすでにマーケットを確立した非公式の「パラトランジット」がいくつかある。
- ソンテウ 乗客を運ぶトラックで、通常14人分の座席があり、路地や郊外で運用されている。免許はBMTAか地上交通部が発行するが、無免許のもののほうが多い。
- オートバイタクシー もともとは路地や住宅街を走ったり、渋滞する主要道路をすり抜けたりする目的の無免許運用の交通機関であった。現在オートバイタクシーの数は4万前後で、近年増加している。ヘルメット着用や運転手のID番号の掲示が義務であるにも関わらず、依然として、特に交通の流れが速い中を縫うように走る場合など危険なものである。
- 無免許ルートバン バンコクの多くの路線で見られる乗り物で、元々は路線や定員、サービスなどについての需要を公共交通機関が満たし切れていないところから発生している。多少の割り増し料金を払えば快適に目的地まで直行してくれるということで、郊外の通勤者のニーズに合っていると言える。