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3. 開発途上国の都市交通の現状と課題

―タイ―

 

本報告は、平成12年度 JICA受託事業「都市公共交通コロキウム」研修参加者のレポートから抜粋し、作成したものである。

Ms. Wilawon Kreekavee(タイ運輸通信省陸運局渉外官)

 

1. 都市における交通の現状

現在のバンコクの公共交通を以下に示す。

 

1) バス

主要な交通機関はバスであり、いくつかのタイプがある。これらの大半はバンコク公共交通局(BMTA)が認可し運営を行っている。BMTAは136路線、4,056台のバスを運行しており、そのうち2,862台は普通バスで1,194台が空調付バスである。BMTAの監督下で運行されている民営バスもあり、普通バスと空調付バスが合計1,862台、ミニバスが1,580台、他に街路(SOI)で営業を行う2,371台の小型バスがある。一日あたり平均340万人がこれらのバスを利用している。

 

2) フェリー

チャオプラヤ川では、交通通信省(MOTC)港湾部の免許を受けた民間企業がフェリーを運航している。一方、運河(klong)での運行はバンコク市行政府(BMA)排下水部が監督・認可している。フェリーは道路を使うより速い場合が多い。ラッシュ時だけは定員超過が顕著であるが、一般にフェリーの便数や定員は現在の需要を満たしていると言える。しかし、快適性・アクセス・乗下船施設や、桟橋の環境は良くない。バスとフェリーの乗り継ぎの悪さがフェリーの利用を妨げているし、安全度も低い。川渡しの料金は2バーツで、エクスプレスボートや運河ボートは4、5バーツから距離に応じて15バーツ程度である。表1には、1994年から1999年のフェリー利用者数の推移を示した。

 

3) 通勤電車

通勤電車を運営するタイ国有鉄道(SRT)は、議会が指名した理事長と理事で構成する理事会が管轄している。バンコクと周辺地域を結ぶ交通機関としてのSRTの鉄道の役割は比較的小さなもので、1995年の公共交通利用者の2%にすぎない。それでもSRTは、道路の利用者を分散させる目的で毎日バンコクから放射状に伸びる路線132kmで通勤電車を走らせている。列車の本数は5路線あわせてもラッシュ時1時間あたり12本、乗車定員も合計で20,300人と少ない。

 

4) タクシー

バンコクで運用されているタクシーには2種類ある。タクシー(セダン)とトゥクトゥクと呼ばれる3輪オートバイである。タクシーとトゥクトゥクは陸上交通部(DLT)の商用車両免許局の免許を受けている。

 

表1 フェリー利用者数の推移

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出典:The Harbour Department

注:98年は除く

 

 

 

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