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・他の交通モードとの調整政策

鉄道駅周辺の開発例を示す。6つの路線が走る東京の市街地の駅の図を示す。下の図は土地利用を示し、駅周辺で商業とビジネスが集中しているのが分かる。上の図は、開発の密度を示す。駅周辺は、非常に集中的に開発されている。このような土地利用は鉄道が利用されるため、環境への負荷を低減し、交通渋滞も軽減される。実現には、民間による経済活動を誘導し組織化する地方自治体のゾーニングや開発密度の調整などの都市計画政策に依存する。

事業の実施に係る財政的、組織的課題を議論したい。プロジェクトファイナンスは2面性がある。第1は、初期のファイナンスで、初期の資金調達である。2番は、返済の計画である。この2点をはっきり定義するべきである。

初期の資金調達は多くの方法がある。債券あるいは株の発行、民間会社、銀行、中央・地方政府からの直接投資、中央・地方政府からの助成金、ODAや国際融資等の様々な他の貢献、他のセクターからの土地や施設の提供など。ケースに応じて組み合わせる。

最も重要なことは、事業を投資家に対して魅力的な事業にできるかであり、最終的な資源が合理的であり、採算性があるかにかかっている。

最終資源に再び焦点を当てる。最終資源は、利用者又は旅客からの収入、運賃、店、ホテル、商業センターなどの交通セクター関連商業活動からの収入、不動産収入、商業活動からの税収などである。

鉄道や交通開発に開発効果や開発利益があることが理解できる。開発で地価は上げる。土地利用からの税収が増加する。地方自治体や中央政府への増収が見込まれる。交通開発が良い方向へ進む。しばしば、交通システムは人口増を導き、政府は税収を得る。交通開発あるいは鉄道開発は環境改善のような社会的な効果も及ぼす。このことは一般納税者も負担の責任があることを意味する。

以上を実現するための必要条件のひとつは、強力で良く組織された制度的なシステムを確立しなくてはならないということである。

時間に限りがあるため、都市鉄道の実現に焦点を当て提言する。

まず、民間会社の競争力のある運営とマーケティング。可能な限りの民活。関連ビジネス環境強化。官主導による計画、調整、監理。公共部門のインフラ整備への貢献。駅周辺域の官主導の開発。以上が日本での鍵となる項目である。

 

 

 

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