日本財団 図書館


リマ都庁はバイパスやインターチェンジを数ヵ所ですでに建設し、今後もさらに建設を続けていく。カヤオ市とも協力してバス路線や信号システムの改善にも取り組んでいる。

以下に交通関係機関とその計画を短くまとめる。

・リマ交通審議会は、交通事業の開発・計画を担当する各組織間の調整を図る。現在リマ首都圏を対象とした新しい出発点−目的地調査が準備されているところで、各交通手段の割合の調査や移動回数の調査も含む予定である。

・道路安全審議会は1997年に発足し、特に公共交通機関における運転マナーの改善をめざしている。数回のキャンペーンが行われたほか、交通事故を防ぐための新しい法的環境整備との整合性を図っている。信号や交通標識といった最善の運転の危険防止策を選択するための助言を行うことも任務である。

・PROTUMと呼ばれる「リマ・カヤオ都市交通プロジェクト」は、1996年に設置された。目的は5本のバス路線の計画・設計、リマ首都圏内の既存のバスシステムや路線の再調整、市内の低所得者居住地の未整備道路の改善である。この事業の着手にあたり日本政府から100万ドルの贈与をいただき、国際競争入札の結果、Wilbur & Smith ConsultingとBadallsa Engineeringが落札した。すでに調査を終えており、実施に向けて当局の修正が行われているところである。

・「北部周辺道路プロジェクト」については、ペルー政府の交通地域住宅建設省が直接管轄して、リマ市の環状道路の北半分の計画・設計を行っている。これはリマ市で史上最大の道路事業であり、西部都心のロス オリヴォスやサンマルティン デ ポレス、北部のインデペンデンシアやコマス、北東部のサンファン デ ルリハンチョ、東部のウアチパやサンタアニタに短時間でのアクセスを提供するものである。プロジェクトには32km近い高速道路と数ヵ所のバイパスやインターチェンジを含み、各2km近い2本のトンネル(1方向1トンネル)もある。リマ最大の人口を擁する2サンファン デ ルリハンチョはアンデス山脈に繋がる高地に囲まれ、アクセスは現在リマ市中心へ繋がるプロセレス デ インディペンデンシア通りのにのみ頼っている。このプロジェクトは代替ルートとして不可欠である。

◆電気軌道プロジェクトとして知られる「都市鉄道プロジェクト」は、リマとカヤオの電車交通システムの特別プロジェクト自治局(AATE)が行っているもので、1号線の最初の10kmがすでに建設された。この区間が商業的にあまり魅力のない区間であるため、現在試験的にだけ電車を走らせている。リマ中心部まで路線を完成させれば利益が上がるのだが、資金がかかりすぎる。そこで地下鉄網補完調査では、既存の施設の当初一時的な補完としてバス路線の利用を提案し(図5)、以下のように段階をふんで最終的に中心部までの延長を目指すとしている。

 

2 人口は100万人近く、ペルー第二のアレキパと同規模である。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION