日本財団 図書館


しかし、結局そのメインテナンスには大きな費用を投じていることになる。

・路線・運行時間・料金・車両台数などが自由化されたため、1991年以降、公共交通は監督不能になっている。これにより公共輸送車両の数が増え、座席の供給過剰が続いている。

・公共交通に使われる車両の使用年数は平均15年と長く、その多くは中古車か劣悪なコンディションにある。その結果、公共交通車両が原因となる事故が急速に増えている。

・公共交通機関の路線は技術的な承認を経ずに設定されており、住宅街を通り抜けたりバスの運用には適さないような狭い路地を通ったり、入り組んだ路線で運用されている。

・技術的に未熟な運転手がメインテナンスの行き届かない車両を運転するため、人々が事故(ほとんどが死亡事故)に見舞われる危険性が高い。毎年10機の飛行機が墜落するより多くの交通事故死亡者が発生している。

・交通需要や交通量についてのデータが古い。事業は1992年の出発地―目的地調査に基づいたデータを使って計画される。AATEはその補完調査の中で、少数のサンプルについて最新のO-D調査を行ったが、これは都市鉄道網が影響を及ぼす地域内だけに限ったものであった。

 

首都における都市交通の将来計画

現在政府当局は、次のような理由からリマ首都圏の交通の改善を最優先課題としている。

a) 交通の利用者と運行者の双方に補償するため。現在交通渋滞による損失は甚大であり、それ以上に、首都が国内総生産の約44%を担っているということを考慮すべきである。

b) 生活水準と環境水準を改善するため。自動車が原因の汚染が深刻である。

c) 都市・公共サービス・諸活動の調和的発展に貢献するため。

d) 交通の安全を向上させるため。首都圏で起きる交通事故の削減がその鍵となる。

都市交通の問題に対処するために、当局は抜本的な組織改革を実行することが適当と判断している。これは市の運営を担う各機関が協力することにより実現できるはずである。すでに政府組織であるリマ交通審議会が設置されており、交通事業の計画・開発と中期的な事業実施とを担当している。その他の重要な組織としては、道路安全審議会、リマ・カヤオ都市交通プロジェクト(PROTUM)、北部周辺道路プロジェクト、都市電鉄システム(AATEによる)などがあり、これらはすべて交通地域住宅建設省に属している。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION