3.4 使用する避難経路
IMOで作成した暫定避難経路解析ガイドラインでは、乗客・乗員はprimary escape routeを通って避難することとしている。即ち、secondary escape routeは使用しないこととしている。しかし、内航船ではescape routeをprimaryとsecondaryに区別する考え方は無いことから、この考え方は適用しない。よって、基本的には、以下で述べるシナリオで規定されない限り、船舶設備規程を満足する全ての避難経路が使用できるものとして解析する。また、船舶設備規程では、回り階段やTransverse方向の階段は、一般には避難経路として認められないが、本避難経路解析では、これらの避難経路も使用できるものとする。
各避難者が使用する避難経路(避難ルート選択)の想定は、設計者に委ねるものとする。即ち、避難ルート選択は、各シナリオ毎に最適化されたものであって良い。
Note:避難経路選定方法については多くの議論がなされ、避難経路の選定方法を規定することも検討されたが、解析において避難経路選定方法を規定すると、逆に、解析の都合により一部の避難経路を省く、または、幅を狭めるといった、安全上望ましくない避難経路配置を要求する恐れがあることが認識され、今後の課題と位置付けられた。
3.5 避難経路解析シナリオの種類
避難経路の評価においては、次節に述べる以下のシナリオについて解析を行う。
(1) 障害無しシナリオ
(2) 連続階段使用不能シナリオ
(3) 火災室前通路使用不能シナリオ
(4) 傾斜シナリオ
3.6 各シナリオにおける解析条件
(1) 障害無しシナリオ
(a) シナリオの概要
全ての避難経路が使用でき、船舶の傾斜を想定しないシナリオである。