日本財団 図書館


寧ろ、ro-ro旅客船は一般に、客室甲板の数が少ないため避難経路は単純なものになりやすく、避難経路解析は純客船においてこそ重要とも考えられる。また、IMOにおいても、避難経路解析要件の大型旅客船への適用が審議されている。一方、国際規則と国内規則の整合の観点からは、当面非ro-roの旅客船には避難経路解析の要件を適用しないことも考えられる。

 

3 避難経路解析条件

 

避難経路解析の条件として、以下の事項について、可能な範囲で述べる。

(1) 評価指標:3.1節

(2) 避難者の初期配置及び避難の開始:3.2節

(2) 流出係数及び歩行速度の設定方法:3.3節

(3) 使用する避難経路:3.4節

(4) 避難経路解析シナリオ(利用できる避難経路等):3.5 & 3.6節

(5) 評価指標:3.7節

 

3.1 評価指標

3.1.1 評価指標の種類

避難経路評価としては、「総避難時間」と「最大滞留時間」の二つを用いる。

Note:IMOガイドラインでは、避難者の平均密度(廊下における単位面積当たりの避難者数)も評価指標とし、そのクライテリアを設定している。しかし、本避難経路解析では、例えば旅客室前の廊下が狭く、旅客室から廊下に出られない状況が生じたとしても、廊下に出るまでの待ち時間が短ければ、安全上特段の問題は無いと考え、密度は評価指標としないこととなった。但し、生存低乗艇場所の面積は、別途規則で要求されている点に留意されたい。

 

3.1.2 総避難時間

総避難時間とは、避難開始から全ての避難者が集合場所(生存艇乗艇場所)に集合するまでの時間を言う。総避難時間は、如何なる条件であっても、避難に極端に長い時間を要しないことを確認するための指標であり、シナリオによらず、そのクライテリアは一定とする。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION