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(7) 対象が高速船型などの理由で外形状の扁平大型化が困難な場合には、代替案としてバルバスバウ基部の幅或いは深さを絞る等、バルバスバウ先端から離れた位置での断面積の縮小と横曲げ剛性が低下する様な配慮が望ましい。基部の幅が絞られない場合でも、バルバスバウの突出長さが大きい場合には実質的な横曲げ強度の低下が得られる。

(8) 喫水線上の船首形状・構造様式についても、被衝突船の船側構造上部との接触が予想されるので、バルバスバウ同様に尖鋭形状で強固な構造設計は好ましくない。

 

以上は、希な「衝突時の被衝突船保護」の観点を最優先した場合の設計指針である。現実には通常の航海時性能・オペレーションの便及び初期・メンテナンスコストなどを含む観点から総合的に最適化を図る必要がある。

 

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図3.8-1 緩衝型船首構造試設計事例(大型タンカー)

 

3.9 まとめ

3年間のWG活動により、緩衝型船首構造の有効性を検討した。詳細FEM解析、模型試験により衝突の簡易評価式を作成し、試設計した緩衝型船首構造に対してシリーズ計算を行った。最後に、緩衝型船首構造を設計する際の指針を示した。

今後、緩衝型船首構造が真に有効性を発揮するためには基準化が必要となる。その際には、船首構造を具体的に規定するのではなく、船首構造が持つべき単位面積あたりの圧潰強度の上限、下限(船首構造が柔らかすぎる場合は逆に吸収エネルギーが小さくなり、危険側になる)を規定する必要がある。本WGでは基準案における具体的な強度の策定まで行うことはできなかったが、試設計した緩衝型船首構造の有効性をシリーズ計算により確認し、基準となるべき具体的な設計指針を示した。

WGでの検討の範囲では、この緩衝型船首構造を採用することはデメリットはほとんどなく、油流出に対する危険が減少するという意味でメリットがあると思われるので、基準化の推進はもちろん、基準化を待たずに船主、造船所側においても早期の採用を検討するに十分値するものと考える。

 

 

 

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