主たる要因は、バルバスバウの横曲がりが顕著に発生し貫入剛性が低下したのと、バルバスバウの厚み方向の圧潰が生じてエネルギー吸収が増加した事にある。バルバスバウの横曲がりが顕著に生じた主原因は、バルバスバウの内部構造が緩衝型(横肋骨様式)になっている効果にある。以上から、超大型コンテナー船の様にバルバスバウが狭幅の尖鋭形状である場合には、防撓構造の影響が顕著であるとの知見を得た。
バルバスバウの横曲がりの発生原因となる摩擦力は、被衝突船に前進速度がある場合に作用する。比較の為にD/H VLCCが浮上停止状態にある場合のFEM衝突解析を実施したところ、バウの横曲がり変形無発生による外殻・内殻破断のタイミング加速影響と摩擦力無重畳による外・内殻破断のタイミング遅延影響とが相殺し、最終的には大差が生じないとの結果になった。FEM衝突解析事例を図3.5-8から図3.5-15に示す。