本研究の開始当時(1998年4月)と現在とではこのように状況が異なっている。前記のとおり、基準案の規則化のためには移送装置自体の技術的問題以外にもいろいろな問題が残っており、IMOで規則改正の合意を得るには多大な労力と時間が必要と予想される。存在期限が短くなるシングルハルタンカーに対して、今から新たな設備の追加を提案し、時間をかけて規則化することが適当かどうか、慎重に議論する必要がある。
しかしながら、本研究の間接的成果としては、基準案を導くために利用した油の流出/移送計算手法の確立が挙げられる。特に水力学的手法による流量解析は、密度の異なる2流体の重力による移動計算の手法として様々な分野で応用できると考えられる。