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・審議結果

本HLAの設置をRORO旅客船に限定する内容の改正案は、今次会合において原案どおり採択された。今後、本改正は、2002年1月1日に発効する予定である。

 

2-2 1974年S0LAS条約及び同条約1988年議定書の証書の様式の改正

・審議結果

貨物船安全構造証書、貨物船安全設備証書及び貨物船安全証書の様式中、標題“Type of Ships”の下の“Oil tanker”の前に“Bulkcarrier”を挿入することによって、SOLAS条約附属書XII章が適用されるばら積み貨物船を証書上明確にするための本改正案が採択された。今後、本改正は、2002年1月1日に発効する予定である。

 

3. SOLAS条約附属書第V章の全面改正(議題10:航行安全)

ポイント

・SOLAS条約附属書第(6)章(航行安全関係規則)の全面改正案が今次会合において承認された。

・自動船舶識別システム(AIS)の設置要件については、審議の結果、現存タンカーに対する適用期日を「2003年7月1日以降のSE証書の検査時まで」とすることで合意され、その他の船舶については原案どおり合意された。

・航海データ記録装置(VDR)の設置要件については、意見が分かれたことから議長より「新造・現存旅客船及び新造の貨物船」とする案が提示されたが、我が国はこの案に対し態度を留保した上で、次回MSC73(本年11月予定)に提案文書を提出することを発言した。

 

・経韓及び審議結果

航行設備の設置基準、航海の安全に関する措置等が規定されているSOLAS条約附属書第(6)章の全面的な見直しがNAVで審議されてきた。今次改正で、現行強制設備の設置基準の見直し及び新規航行設備の追加等が行われる。

本改正は、NAV45で最終化された改正案に基づき、今次会合での承認及び次回MSC73での採択を経て、2002年7月1日の発効が予定されている。主な審議結果は以下のとおり。

 

3-1 自動船舶識別システム(AIS:Automatic Identification System)

「2002年7月1日以前に建造された国際航海に従事する船舶で、旅客船及びタンカーは、2003年7月1日までにAISを設置する」旨の改正案が、今次会合に提出されていた。

我が国より現存タンカーに対する適用期日を2003年7月1日以降最初の乾ドックまでとする提案を行っており、方、米国から改正案どおりとする提案があり、支持が2分化したために、議長から「2003年7月1日以降の安全設備証書の検査時まで」とする妥協案が提示され、合意された。なお、安全設備証書の検査は毎年の検査、定期的検査等あり、どの検査とするかは、今後の議論となる。

 

3-2 航海データ記録装置(VDR:Voyage Data Recorder)

VDRは、1994年に起きたROROフェリー「エストニア」号の事故を契機に、海難事故の原因を究明するために船舶の針路、速力及び船橋での会話等を記録する設備である。VDRは当該装置を設置した船舶の安全性を直接向上させるものではなく、当該装置を設置した船舶が事故に遭遇した後、事故原因調査において利用することを目的とする二次的な装置であるため、現時点でVDRを広範囲の船舶に設置を義務付けることは過大であると考え、我が国は対象船舶を限定するようこれまで主張してきた。

今次会合で我が国は「新造の国際旅客船に限定すべき」、INTERTANKOとICSは「新造・現存旅客船に加えて新造の貨物船にも適用」、米・英は「NAV45で作成された改正案どおり、現存の貨物船にも適用」と主張し、活発な議論が行われた。最終的に議長より、新造の貨物船については大方の支持を得ていることから、「新造・現存旅客船及び新造の貨物船」に適用する旨の妥協案が出され、これが今次会合で承認されたが、我が国は態度を留保し、次回MSC73(本年11月会合)に提案文書を提出する旨発言した。

 

 

 

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