旗国は、
・板厚衰耗をチェックし、「板厚衰耗限度」内であることを確保
・縦強度評価により、船舶が一定の縦曲げ強度を維持することを確保
・チェック結果、衰耗限度、縦強度評価結果を検査報告書に記載
船舶は、
・検査報告書を船内に保持
寄港国は、
・PSCで船体構造の健全性に重点をおき、検査報告書等を確認
・欠陥の是正についてPSCの関係当局が厳しく対応
・船体縦強度の呼価に国する規制内容
我が国提案は平成9年から実施してきたタンカーの板厚衰耗が進行した場合の船体の破壊強度に関する大規模なコンピュータ解析等を踏まえたもの。
具体的な規制案は、国際船級協会連合(IACS)のルール等も踏まえたやや複雑な計算式を用いるものとなっているが、概略次の通り。
長さ130m以上のタンカーが対象
船齢10年を越える定期検査時に、縦強度に関する船体の状況を評価し、
必要に応じ、切替・補強を行った上で、
フランジ断面積の減少が建造時の10%を越えないこと、又は、
縦強度が建造時に要求される強度の90%以上を維持すること、
このような提案が必要となった理由は、一定の長さ以上の船舶については縦強度部材の板厚が「板厚衰耗限度」内にある場合でも、積み付け状態によっては、船の一生に1回遭遇するような厳しい海象条件において、船体の破壊強度に達するおそれがあるからである。
なお、ナホトカ号の場合、板厚衰耗は20〜35%、強度は建造時の約半分(構造部材の腐食衰耗及びこれに伴う骨材と板材の溶接部の不良による)になっていた。
2. 強制要件に関わる改正の検討及び採択(議題3)
ポイント
・SOLAS条約附属書(4)章第28.2規則の改正案(ヘリコプター着船区域の設置をRORO旅客船に限定する内容)、及び、1974年SOLAS条約及び同条約1988年議定書の証書の様式の改正(“Bulk carrier”の語句を証書に追加する内容)は、今次会合において特段の議論なく採択された。
2-1 SOLAS条約附属書(4)章第28.2規則(ヘリコプター着船区域)の改正
・経緯
1995年の第3回SOLAS条約締約政府会議において、1999年7月以降建造される長さ130m以上の旅客船にヘリコプター着船区域(以下HLA)を設けるためのSOLAS条約の改正が採択され、既に1997年7月1日に発効している。
これに対し、1997年のMSC68以来、ノルウェー/ICCL及びイタリアは、それぞれHLAに関する総合的安全評価(FSA)を行い、費用対効果の観点から非RORO旅客船に対してHLAを要求することは正当化できないとして、HLAの設置要件をRORO旅客船に限定するためのSOLAS条約の改正を改めて行うべきとの主張を行ってきた。
これらFSAの妥当性を検証したFSA・WGの結論を受け、MSC70は、非RORO旅客船にはHLAは不要と結論し、各国に改正案をMSC71に提出するよう要請するとともに、1999年7月1日に現規則が適用になることからMSC71で関連規則改正案を含め必要な措置を検討することを決定した。MSC71における審議の結果、HLAの設置をRORO旅客船に限定する内容の改正案が承認された。